はじめに


農業で広く使われる「マルチシート」。
雑草を抑えたり、土壌の乾燥を防いだりと、多くのメリットがあります。近年では環境配慮や作業効率を重視し、「使い捨て」から「持続可能な」マルチへの移行も進んでいます。
今回比較するのは、代表的な3種類のマルチシートです。
✅ 黒マルチ(ポリエチレン製) → 価格は安く扱いやすいが、回収が必要で環境負荷もある
✅ 生分解性マルチ → 使用後に自然分解し、環境負荷は低いが価格は高め
✅ 紙マルチ(OJIサステナマルチ) → 紙素材で土に還る、環境にやさしいが価格は高め(下記で内容紹介)
この記事では、それぞれの価格・耐久性・環境負荷・コストパフォーマンスについてメリット・デメリットを詳しく解説し、どのマルチを選べばよいかをわかりやすく比較します。
比較の基準として、今回は 「巾95cm×200m」 の規格で統一しました。
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黒マルチ・生分解性マルチ・紙マルチ(OJIサステナマルチ)の比較表
マルチ比較表(弊社調べ)
比較項目 | 黒マルチ | 生分解性マルチ | 紙マルチ(OJIサステナマルチ) |
---|---|---|---|
規格 | 巾95cm×200m | 巾95cm×200m | 巾95cm×200m |
材質 | ポリエチレン(PE)などの プラスチック製 | デンプンやポリ乳酸(PLA)などの 生分解性樹脂 | セルロース(植物由来の素材)を主体原料 |
製品価格 | 1780円 ※1 | 8440円 ※4 | 9500円(1本単価)※5 |
処分費用 | 約300円 ※2 | 0円 | 0円 |
回収作業 | あり(6150円)※3 | なし(0円) | なし(0円) |
保管期間 | 翌年も使用可 | 長期保管不可(1年以内に使用) | 翌年も使用可 |
耐久性 | 最も高い(1年以上使用可能) | 環境条件によって劣化(数ヶ月で分解) | スタンダードタイプで約4~6ヶ月 (使用環境によって劣化が早まる可能性あり) |
外的影響への強さ | 日光・雨・風に強い | 水分・気温の影響を受けやすい | 強度が他のマルチより劣る可能性がある |
物理的強度 | ・耐引張強度が高く、破れにくい (長期間使用可能) ・伸縮性があり、風や機械作業にも 耐えられる | ・一般的なビニールマルチに比べると 引っ張り強度が低い ・高湿度や水分に長時間さらされると 強度が低下し破れやすくなる可能性がある | ・一般的なビニールマルチに比べると引っ張り強度が低い ・長時間水分にさらされると強度が低下する可能性がある |
合計 | 8230円 | 8440円 | 9500円 |
メリット | ・製品の購入単価は安い ・翌年も使用可 ・耐久性が最も高く、長期間使用可能 | ・回収/処分作業不要 ・環境に優しい(自然分解) ・一定期間後に土壌に還るため、 廃棄の手間がかからない | ・回収/処分作業不要 ・環境に優しい(自然分解) ・翌年も使用可(適切な環境で保管すれば劣化しにくい) ・紙ベースなので、分解後も土壌への影響が少ない ・ポリエチレン製マルチシートと比較して、地温の上昇を抑制 |
デメリット | ・回収/処分の手間が発生する (剥がす⇒乾かす⇒産廃処分する) ・トータルコストは他とあまり 変わらない場合がある ・環境に悪影響を及ぼす可能性有 (マイクロプラスチックの発生) | ・製品単価が高い ・長期保管不可(1年以内に使用) ・水分や気温の影響を受けやすい ・土壌条件によって分解速度が変わる ・分解が不均一になる可能性あり | ・製品単価が高い ・強度が他のマルチより劣る可能性がある ・特定の用途に向かない場合あり ・使用環境によって劣化が早まる可能性あり |
※1 某ホームセンター価格より参考
※2 廃プラ処分費約60円kg 黒マルチ約5kg
※3 マルチ回収、つる等の回収を含む生産者聞き取り。金額は全国平均時給にて換算。全国平均時給\1,055
※4 ECサイト日本農業システム参照 スーパードロン\9,600 サンバイオ\7,280 平均値
※5 弊社販売価格より(購入はこちらから)
処分費参考
72/kg 産業廃棄物処理費用・料金表 | G-LINE
60.5/kg 令和6年度 産業廃棄物処理処分料金表 | 環境サービス株式会社
30~60kg 新潟県における廃棄物処理の料金 | リサイクルハブ
それぞれのマルチに関して、以下に情報を補足します。
黒マルチ・生分解性マルチ・紙マルチ(OJIサステナマルチ)の基本情報
① 黒マルチ(ポリエチレン製)


- 材質:ポリエチレン(PE)などのプラスチック製
- 特徴:
- 価格が安く、初期費用を抑えやすい
- 耐久性はあるが基本的にワンシーズン使用
- 地温を上げる効果があり、寒冷地での栽培に有効
- 回収・処分作業が必要(処分費用:約300円、回収作業費:約6,150円)※上記比較表より抜粋
- 環境負荷が高く、プラスチック廃棄物の問題がある
- 補足:
黒マルチは使い捨てが一般的ですが、厚手のものを選べば再利用可能な場合もあります。ただし、回収や保管の手間がかかるため、多くの農家はワンシーズンで廃棄しています。
✅ 黒マルチの厚みには種類があり、耐久性が異なる。
- 薄手タイプ(0.02mm程度):安価で手に入るが、破れやすく、強風や機械作業で損傷しやすい。
- 厚手タイプ(0.05mm以上):強度があり、耐久性が高いため、回収・再利用も可能。ただし価格が高くなるため、使用目的に応じた選択が必要。
✅ 使用後の回収作業が労力・コストの負担になる。
- 使用後は、土から剥がす→乾燥させる→回収して産業廃棄物として処理する 必要がある。
- 広い農地での回収は大変で、作業時間・コストがかかるため、多くの農家がワンシーズンで廃棄を選ぶ。
✅ 劣化や破損すると、マイクロプラスチックの発生につながる可能性がある。
- 風や紫外線の影響を受けると、黒マルチは劣化し、細かく破れやすくなる。
- 破れたマルチの破片が土壌に残ると、マイクロプラスチックが発生し、土壌汚染の原因となる可能性がある。
- この環境負荷を懸念し、代替資材(生分解性マルチや紙マルチ)を選ぶ農家も増えている。
② 生分解性マルチ


- 材質:デンプンやポリ乳酸(PLA)などの生分解性樹脂
- 特徴:
- 使用後は自然に分解されるため、回収不要
- 環境負荷が少なく、土壌に負担をかけにくい
- 価格はやや高め(1本あたり約8,440円)※上記比較表より抜粋
- 耐久性は環境によって変動し、湿度や気温の影響を受けやすい
- 長期保管ができない(1年以内に使用が必要)
- 補足:
✅ 生分解性マルチの分解速度は、環境条件によって大きく異なる。
- 温度や湿度、土壌の微生物の量によって、分解速度が変化する。
- 適切な環境であれば、数ヶ月で分解されるが、寒冷地や乾燥地では分解が遅れる可能性がある。
✅ 分解が不均一になることがある。
- 生分解性マルチの中には、部分的に分解が進みやすい箇所と、進みにくい箇所が生じる場合がある。
- 畑によっては、完全に分解される前に耕す必要が出てくることもあるため、導入前に試験使用がおすすめ。
✅ 一部の生分解性マルチには、合成樹脂が含まれるものもある。
- すべての生分解性マルチが100%自然由来というわけではない。
- 製品によっては、特定の条件下(高温コンポストなど)での分解が前提となるため、選定時に注意が必要。
③ 紙マルチ(OJIサステナマルチ)


- 材質:セルロース(植物由来の素材)
- 特徴:
- 補足:
✅ 紙マルチは環境にやさしいが、耐久性は使用環境に影響を受ける。
- 自然に還ることが最大の特長で、環境負荷が最も少ないマルチ。
- ただし、風や水分の影響を受けやすく、耐久性は使用環境に左右される。
- 長期間の雨や強風が続くと破れやすくなる可能性があるため、気象条件を考慮した使用が重要。
- 地際部分(マルチと土の境目)から分解が進むため、風に飛ばされないよう、随時土寄せを行うことが推奨される。
- 適切な環境(乾燥した場所など)で保管すれば翌年も使用可能(未使用時)
✅ 設置時の扱いに注意が必要。
- 紙マルチは黒マルチよりも破れやすい可能性があり、施工時の取り扱いに注意が必要。
- マルチャーを使用した機械敷設も可能だが、黒マルチより慎重に作業する必要がある。
- 地面との密着を高めるために、適度に土を被せることで風で飛ばされるのを防ぐことが推奨される。
✅ 価格は高めだが、回収作業が不要でトータルコストが抑えられる可能性がある。
- 黒マルチと比べると、購入価格は約4~5倍と高価だが、回収作業が不要であり、処分コストもゼロ。
- 広い農地で使用する場合、回収作業の人件費や産業廃棄物処理費用を考慮すると、長期的なコストメリットが見込める。
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3種類のマルチを徹底比較!
① コスト比較
巾95cm×200mで比較
マルチの種類 | 購入価格 | 回収・処分費用 | 合計コスト |
---|---|---|---|
黒マルチ | 約1,780円 | 約6,450円(回収+処分) | 約8,230円 |
生分解性マルチ | 約8,440円 | 0円 | 約8,440円 |
紙マルチ (OJIサステナマルチ) | 9,500円(弊社価格) | 0円 | 9,500円(弊社価格) |
※上記比較表より抜粋
② 耐久性と保管性
マルチの種類 | 耐久性 | 保管性 |
黒マルチ | 最も高い(1年以上使用可能) | 翌年も使用可 |
生分解性マルチ | 数ヶ月で分解(環境条件による) | 長期保管不可(1年以内に使用) |
紙マルチ (OJIサステナマルチ) | スタンダードタイプで約4~6ヶ月(使用環境によって劣化が早まる可能性あり) | 翌年も使用可(適切に保管すれば) |
※上記比較表より抜粋
③ 環境負荷
マルチの種類 | 環境負荷 |
黒マルチ | 高い(プラスチックごみ発生) |
生分解性マルチ | 低い(自然分解するが条件による) |
紙マルチ (OJIサステナマルチ) | 非常に低い (紙製で土に還る) |
どのマルチを選ぶべきか?
おすすめの選び方
✅ コストを抑えたいなら → 黒マルチ
✅ 環境負荷を減らし、作業の手間を省きたいなら → 生分解性マルチ
✅ 回収・処分が不要 + 有機農業や完全な土壌改善を目指すなら → 紙マルチ(OJIサステナマルチ)


まとめ
- 黒マルチは安価で導入しやすく地温を上げる効果もあるが、回収・処分の手間やコストがかかる。環境負荷が課題となる。
- 生分解性マルチは環境負荷が低く、回収不要で作業負担を軽減できるが、分解速度は温度・湿度・土壌の状態によって変動する。価格は高めで、環境によっては分解が遅れる可能性があるため、使用条件を考慮する必要がある。また、未使用のまま長期保管すると劣化するため、翌年への持ち越しはできず、購入時に使用計画をしっかり立てることが重要。
- 紙マルチ(OJIサステナマルチ)は自然に還るため、最も環境に優しい選択肢。黒マルチと比較して地温の上昇を抑える効果があり、夏場の高温による作物への負担を軽減できる。価格は高めだが、未使用時は適切に保管すれば翌年も使用可能。ただし、長期間の雨や強風の影響を受けやすく、地際部分から分解が進むため、風対策や土寄せなどの管理が必要。
目的に応じたマルチ選びをして、効率的で環境に配慮した農業を実現しましょう!
紙マルチ(OJIサステナマルチ) 直接販売中
商品名 :OJIサステナマルチ スタンダードタイプ
米坪 : 45g/m2
色 : ベージュ/黒
サイズ : 950mm x 200m
販売単位: 2本
表示価格: 2本合計での価格表示となります。
敷設期間の目安: (スタンダード)4~6ヶ月
生産国 : 日本
販売価格 : 2本セット 20,900円(税込み/送料込み)
購入先 : 弊社ECサイト(田村商店STORES)より直接販売
※その他の規格は、お問い合わせフォームよりご相談ください。


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