皆さんは「紙の糸(紙糸)」というのをご存じですか?
文字通り「紙でできた糸」(紙から作られた糸)なのですが、言葉から連想される「一般的な紙」を「糸状にしたもの」ではないんです!!
この「紙でできた糸」がいまは進化して、衣類(ジャケット・スカート・ドレス・パンツ・セーターなど)として活用されたり、人工芝となったりして注目を浴びています!
「紙が服に!?」「紙が人工芝に!!?」
驚きの進化を遂げた「かみのいと」を今回ご紹介していきます。
紙繊維(天然繊維)で作られた糸「かみのいと」
「かみのいと」から「衣類」や「人工芝」に⁉
「紙の糸(紙糸)」とは?
紙の糸(紙糸)とは、上記にも書いてある通り「紙でできた糸」になります。
「紙でできた糸」とは書いてありますが、一般的な紙とは異なる紙繊維を用いており、特殊な製造工程を経て作られるので、認識としては「特徴のある糸を作成するために特殊な紙繊維が必要」という方が正しいかもしれません。
紙から作られた糸は「抄繊糸(しょうせんし)」とも呼ばれ、日本では既に奈良時代に存在し、実は麻や綿よりも古い歴史を持つ素材になりますが、あまり有名ではないようで、ご存じない方も多いと思います。
似たもので「和紙でできた糸(和紙糸)」というものも存在します。
紙糸(和紙糸)を製造している会社はいくつかあり、それぞれ独自の製法により製造しています。
紙繊維(天然繊維)でありながら丈夫で軽く、吸水性や速乾性、通気性などの機能を備えることで肌にも優しいなど、様々な特徴を備えた特殊な糸として「生地」としての活用や、紙糸で作られた「オリジナル商品」として販売展開されております。
紙糸(和紙糸)は原料が「紙繊維」(天然繊維)ということもあり、昨今の「環境対策」(環境配慮の取り組み)「サステナブル」(持続可能な取り組み)SDGsへの取り組みとしても再注目されています。
環境にやさしい特徴がある
企業のSDGsへの取り組みとしても有効
「かみのいと」とは?
「かみのいと」は、正確には「かみのいと OJO⁺」(オージョプラス)という名称で、王子ファイバー株式会社が製造開発した天然繊維になります。
既存の「紙の糸」は、すぐれた特性を持ちながら、量産がむずかしく、特殊な製造工程により「高価格帯になってしまう」という難点がありました。ですが王子ファイバー株式会社はそこに着目し、紙に携わってきたノウハウをもとに、先端の設備と新技術により、独自の生産体制を確立。環境と肌へのやさしさはそのままに、最高の品質と利用しやすい価格の天然繊維「かみのいと OJO+(オージョ)」を生み出しました。
「軽さ」という紙本来の特長に加え、強靭で毛羽がなく、吸水性、速乾性に富み、なおかつ染色性にも優れているなど、数多くの特長を兼ね備えた「OJO+」。 原料のマニラ麻は、生育が早く、二酸化炭素の吸収にも優れ、また糸を焼却しても有害物質が発生せずに生分解されるといったように、地球を次世代につなげる夢のエコロジー素材。日本が誇るいくつもの最先端製紙技術が活きています。
下記では、「かみのいと OJO⁺」の特徴を詳しく解説していきます。
アパレルの活用に
インテリアファブリックとしての活用に
ベッドリネンへの活用に
その他、幅広い活用が可能
「かみのいと OJO⁺」特徴 / 特性
紙糸繊維「OJO⁺(オージョ)」は、天然繊維(マニラ麻)の性質を有した、環境にとってとても優しい「天然のフィラメント加工糸」です。
原料はマニラ麻
繊維のみを取り出す
特殊な釜で強靱なマニラ麻の繊維を分解
繊維から紙糸原紙ロールを製造
細長く裁断しテープ状に
紙糸テープに、独自技術で均一にコヨリを掛け(撚糸)、「OJO⁺」が完成。
紙を1ミリ以下の幅に細くスリットし、撚って糸にするため、糸の原料となる原紙は細くスリットしても切れない『強く、薄く、均一性のある紙』でなくてはなりません。麻は木材パルプに比べ繊維が長いので、優れた強度を持つ紙を作るのに大変適しているのです。「OJO⁺」は、マニラ麻の中でも、より強靱で上質とされる南米エクアドル産の麻を原料とする紙からできた糸です。強いだけでなく、従来の麻と比べて「軽く」「毛羽がなく」「とても触感のよい」繊維です。
「かみのいと OJO⁺」機能性
● 機能性
- 軽量性:非常に軽い(麻/綿/毛など 他繊維の半分以下の比重)身体への負担が少なく、長時間着用しても快適
- 耐久性:マニラ麻の強靱な繊維で作られるため、ハリとコシがあり、高い耐久性を必要とする製品にも適する
- 耐水性:独自の製法により、水に極めて強く繰り返しの洗濯も可能。靴下などアパレル製品にも適する
- 吸水性:水分を素早く吸収してサラッとした肌触りを実現(吸湿性もあり)清潔で快適な環境を維持
- 速乾性:1本1本の繊維が多孔質(細かい穴の開いた構造)のため通気性もあり清潔で快適な環境を維持
- 熱伝導性:熱伝導率が低い(特有の空隙があるため、熱が伝わりにくく、着用した際の体温の変化が少ない)
- 消臭性:イヤなニオイや体臭などにも効果あり
- 抗菌性:繊維自体に抗菌性があるため、健康にも配慮
- 交織性:ウールやポリエステルといった他繊維との交織性にも非常に優れる
● その他 特徴
- 毛羽がない
- 肌にやさしい
- 麻以上のハリとコシ
- さらっとした爽やかな触感
- 夏物衣料としての冷感
- 冬物衣料としての軽さと保温力
- 他繊維との複合に適した多用性
- 紫外線のカット
「かみのいと OJO⁺」環境性
- 高いサステナビリティ(原料のマニラ麻は生育が早く3年で成長)
- マニラ麻は二酸化炭素の吸収に優れている(持続可能な低炭素社会の実現に貢献)
- 化学肥料や農薬不使用の原料(ドイツCERESのオーガニック認証取得)
- 生分解性を有する(土中の微生物により炭酸ガスと水に分解)
- 海洋へ流出しても自然分解され生態系への影響にも心配ない(プラスチック素材とは異なる)
- 焼却しても有害物質が発生しない(プラスチックや合成材料から作られた糸は、燃焼時に有害なガスや化合物を放出するといわれる)
「かみのいと OJO⁺」他繊維との比較
繊維は、通常、化学繊維と天然繊維に大別され、それぞれ長繊維(フィラメント)と短繊維(スパン)があります。植物性の短繊維を原料に、長い紙をすくことで長繊維化させた紙糸繊維は、唯一の植物性長繊維。「OJO⁺」は、なめらかな長繊維と天然の麻の良さを合わせ持ったフィラメント加工糸といえます。
※マニラ麻とは
紙の原料といわれると、木を連想しますが、「OJO+」の原料となるマニラ麻は、草の一種で、多年生草本類。フィリピンやエクアドルなどに生息する、別名「アバカ」と呼ばれるバショウ科の植物です。苗から原料となるまでおおよそ3年で、高さ5~6m、直径40cmまで成長します。空気を多くふくむ多孔質の繊維なため、とても軽量。真水はもちろん、海水にも強い、極めて耐水性の高い繊維です。
「かみのいと OJO⁺」用途
アパレル
夏物衣料としての爽やかな触感と冷感、冬物衣料としての軽さと保温力を兼ね備え、ジャケット・スカート・ドレス・パンツ・セーターなど、幅広く展開いただけます。
インテリアファブリック
コシの強い丈夫な繊維なので、ソファなど家具のファブリック、壁紙、ラグ、またオフィスのパーテーションなど、幅広い用途に適しています。
ベッドリネン
吸湿性・吸汗性・通気性・撥水性に優れており、他の繊維との混紡によって、タオルやピローケース、シーツとしても快適にご使用いただけます。
その他(人工芝、扇子、傘など)
OJO⁺ はその優れた機能性から、布製品に限らず、人工芝、扇子、傘など幅広い用途でも活用されています。
サステナブルな商品開発に活躍
「かみのいと OJO⁺」は様々な製品の素材として有効です。
- 機能性の高い商品を作りたい
- 環境にやさしい商品を作りたい
- 商品開発に「かみのいと」を活用したい
- 「かみのいと」を既存の素材に混ぜ活用したい
- 開発をしたいがノウハウがない
など、「かみのいと OJO⁺」を活用したい場合やご質問はお気軽にご相談ください。(ご相談はこちらをクリック)
「かみのいと OJO⁺」種類
糸の種類は複数あります。
製造する生地や製品、使用用途や環境によりおすすめする糸(撚糸)は異なります。
● 15g/㎡ 原紙
・ロイヤル撚糸(強撚)
・スタンダード撚糸(弱撚)
・甘撚り
・太番手
さらに、これらの中にも複数の品番に分かれます。
● 22g/㎡ 原紙
詳しくはこちら➡ 【 取扱い撚糸一覧 】
「かみのいと OJO⁺」は糸(撚糸)の種類が豊富にあり、お客様の用途ごとに最適な糸は異なります。
「かみのいと OJO⁺」に興味がありましたら、まずはお気軽にご相談ください。お客様に最適な糸(撚糸)をご提案いたします。
お問い合わせはこちら
当サイト「機能紙選定ナビ」では「かみのいと OJO⁺」をはじめ、様々な「機能を備えた紙素材」もご提案しております。オリジナル製品の開発など、各種ご相談も承っております。まずはお気軽にご相談ください。
電話でのお問い合わせ ☎:0258-46-9110
紙のプロフェッショナルが、あなたの悩みを解決します
※当記事は王子ファイバー株式会社様の「かみのいと OJO⁺」ページより一部抜粋しております。
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