はじめに
近年、環境問題に対する関心が高まる中で、「環境に優しい包装材」の需要が急速に増加しています。特に、「紙容器」はその多用途性とサステナビリティから、多くの業界で注目されています。紙容器は再生可能な素材であり、リサイクル可能であるため、プラスチック容器に代わるエコフレンドリーな選択肢として広がっています。この記事では、紙容器の利点、種類、選び方について詳しく解説し、弊社「機能紙選定ナビ」にご相談いただくことで、皆様の用途に応じた最適な紙容器選びをサポートしております。
紙容器と紙パッケージの違い
紙容器のご紹介の前に、似た表現で「紙パッケージ」が存在します。「紙パッケージ」とは、紙を主原料とした包装材全般を指します。
紙製の容器(紙容器)と紙製のパッケージ(紙パッケージ)は同じ物のように捉えられますが、若干異なる点がありますのでその違いを下記にてご紹介いたします。若干の違いはありますが、弊社にお問い合わせ頂く場合はあまりここは意識しなくても問題はありません。
紙容器 (Paper Container)
定義:
紙容器は、食品や飲料、化粧品などの内容物を直接保護し、保持するために使用される容器です。紙容器には、カップ、ボウル、ボックス、チューブ(筒)などが含まれます。紙容器は紙パッケージの一部として捉えられます。
特徴:
- 直接接触:内容物と直接接触するため、耐水性や耐油性、バリア性などの特別な機能が求められます。
- 用途:飲食物の包装(ホットドリンク用カップ、アイスクリームカップ)、化粧品の容器などに使われます。
- 機能:内容物の保護、保持、密閉が主な目的です。また、保温・保冷機能や耐油性などの特殊な機能を持つこともあります。
紙パッケージ (Paper Packaging)
定義:
紙パッケージは、商品の保護、情報提供、ブランドの視覚的表現などの目的で使用される包装材です。商品を包み、輸送や販売時に商品を保護する役割を果たします。紙パッケージを細かく分けると、紙箱・紙袋・紙カップ・紙トレー・段ボールなど多岐にわたります。上記の紙容器も紙パッケージの一部として考えられます。
特徴:
- 間接接触:内容物と直接接触しない場合も多く、包装の外部に用いられることが一般的です。
- 用途:食品、飲料、日用品、家電製品など幅広い商品の外装として使用されます。たとえば、ティーバッグの外装箱、シリアルボックス、化粧品の外箱などが該当します。
- 機能:商品の保護、輸送中の衝撃緩和、情報提供(製品情報や使用方法など)、ブランドイメージの伝達が主な目的です。
紙パッケージ例
日本製紙 シールドプラス®
シールドプラス® について
内容物(特に食品)は製造して以降、時間の経過や環境変化によって次第に化学的な劣化が進みます。このため、内容物を包むパッケージには、酸素や水蒸気などの透過を防ぎ、内容物の商品価値低下を抑える機能が求められます。
シールドプラス®は、木質素材100%から成る基材に製紙用水系塗工技術を活用したバリア塗工層を付与することで誕生した、『環境に優しいバリア素材』です。
2020年10月、バリア屈曲耐性を向上させた「シールドプラスⅡ」として生まれ変わりました。
製品の特徴
- 酸素・水蒸気バリア性 … 優れたバリア性により、内容物を保護し品質を維持します
- フレーバーバリア性 … 内容物の香りを保持し、「におい」漏れ・「におい」移りを抑えます
- 環境適合性 …「紙」は循環型資源である「木」が原料です
シールドプラス 用途
バリア性(特に酸素・フレーバーバリア性)を必要とされる包材
・菓子類、シリアル、珈琲・紅茶、ペットフード
・焼菓子等の品質保持剤封入包材
・化粧品、香料・線香等の香り保持包材 など
※上記はあくまで当社で想定しているターゲットの一例です。
内容物や材質構成・使用方法・保管方法等により、
鮮度保持期間が変わりますので、各種評価の実施をお願いいたします。
※その他、用途に合わせた展開が可能です。
詳細に関しましては、弊社までお問い合わせください。
シールドプラスについて、ご不明点・ご質問等ございましたらお問い合わせフォームをご活用ください。
日本製紙 ラミナ®
ラミナ® について
近年、使い捨てプラスチック製品の流出等による海洋プラスチックごみ問題がクローズアップされていることを背景に、再利用可能で生分解性を有する素材への需要が高まっており、特にパッケージ分野では、環境にやさしい素材として「紙」が見直されています。
こうした状況の中で私たちは、長年培ってきた製紙技術と塗工技術を応用し、プラスチックを用いずに”紙だけでパッケージができるヒートシール紙” 「ラミナ®」 を開発しました。
製品の特長
- 循環型資源である「紙」が基材のため、環境適合性に優れます
- リードタイムを大幅に短縮します(ラミネート工程の省略)
通常の包装用紙の場合:印刷→ラミネート→エージング工程→スリット→出荷
ラミナ®を使用した場合:印刷→スリット→出荷 - あらゆるパッケージへの適用が可能です
食品・化粧品・日用雑貨など、さまざまな包装用途で検討できます
※シールドプラスのようなガスバリアはありません
※食品包装用途でご検討の場合は、汚損の恐れがない二次包装で使用することでリサイクル性が向上します
ラミナ 用途
バリア性が不要とされる包材
・食品、ペットフード、医薬品等の二次包材
・文房具、日用雑貨、衣類、電化製品等 各種軟包材 など
※上記はあくまで当社で想定しているターゲットの一例です。
※その他、用途に合わせた展開が可能です。
詳細に関しましては、弊社までお問い合わせください。
ラミナ ラインナップ
ベース原紙の異なる製品を複数ラインアップしています。印刷適性や必要強度に合わせてお選びいただけます。
ラミナについて、ご不明点・ご質問等ございましたらお問い合わせフォームをご活用ください。
主な違い
- 直接接触の有無:
紙容器は内容物と直接接触するのに対し、紙パッケージは必ずしも直接接触しません。 - 機能の違い:
紙容器は主に内容物を保持し保護するための機能を持ちますが、紙パッケージは商品全体を包み込み、保護や情報提供、ブランド表現などの多岐にわたる役割を担います。 - 用途の範囲:
紙容器は飲食物などの保持が主な用途ですが、紙パッケージは商品全体を包む外装としての用途が広がります。
紙容器は紙パッケージの一部に含まれますが、上記のように、紙容器と紙パッケージは目的や使用場所に応じて異なる役割を持つ包装材として認識されております。
紙容器のメリット
環境への配慮
紙容器は、「再生可能な資源」から作られており、適切なリサイクルプロセスを経ることで、再び資源として活用することが可能です。これにより、環境への負荷を大幅に減らすことができるため、「サステナブルな容器」として評価されています。また、紙は自然界での分解が比較的早く、廃棄物問題の解決にも貢献します。
軽量で持ち運びが容易
紙容器は軽量であるため、物流コストの削減や消費者の利便性向上に寄与します。特に、「食品包装」や「飲料パッケージ」として利用される場合、軽さが大きなメリットとなります。また、使用後は簡単に折りたたんで廃棄できるため、廃棄物の量を減らし、廃棄処理の負担も軽減します。
デザインの多様性
紙容器は形状やサイズ、デザインにおいて多様な選択肢があります。これにより、ブランドイメージを表現しやすく、製品の魅力を引き立てるパッケージデザインが可能です。特に「カスタマイズ可能な紙容器」は、マーケティングの重要なツールとなり得ます。
紙容器の種類と機能
耐水性と耐油性
紙は通常、水や油に対して弱い素材ですが、特殊なコーティングを施すことで、「耐水性」と「耐油性」を向上させることができます。例えば、食品用紙容器には紙コップでも使用されている「ポリエチレンコーティング」が採用されているものがあり、これにより飲料やスープ・食材にかけるソースなどの液体食品の包装にも対応が可能となります。他には酸素・香りをバリアする「バリアコーティング」が使用されているものもあります。これらは液体や油分の他にも酸素や香りの漏れを防ぐ効果があります。
保温・保冷機能
紙容器の「保温・保冷機能」は、特に食品業界で重要です。カップの内側にアルミ箔を使用したり、二重構造にすることで、温度を維持する機能を強化できます。これにより、ホットドリンク用カップやアイスクリーム用の容器としての使用が可能です。また、結露防止のための加工が施されているものもあり、持ち運びや消費者の使いやすさに配慮した設計がなされています。
強度と耐久性
紙容器は、その設計や素材の選択によって強度を調整できます。特に、重量物の梱包や輸送には、強化された「クラフト紙」や「多層構造」の紙容器が用いられます。これにより、衝撃や荷重に対する耐性が向上し、製品を安全に保護することが可能です。例えば、電子製品やガラス製品の梱包には、強度の高い紙容器が選ばれます。
紙容器の種類と特徴
紙製カップ(コップ)
紙製カップは、飲料や食品を一時的に保持するための容器で、特にホットドリンクや冷たい飲み物の提供に使われます。カップの内側には液体を漏れにくくするためのコーティングが施されています。ホットドリンク用カップは、耐熱性を持たせるための工夫も施されています。
使用例
- ホットドリンク用カップ:
コーヒーや紅茶などの温かい飲み物を提供するために使われます。内側には耐熱性を持たせるためのコーティングが施されています。 - アイスクリームカップ:
アイスクリームや冷たいデザートを盛り付けるための小型カップ。内側には防水加工がされています。
紙製ボウル
紙製ボウルは、広い開口部を持ち、液体や固体の食材を盛り付けるのに適した容器として活用されます。他には紙製花器としても使用されることがあります。食品用途ではサラダやスープ、パスタなどの料理を提供するために使用されます。丸い形や四角い形など様々な形状のものがあり、ボウルの内側には防水性を高めるための加工が施されているのが一般的です。
使用例
- サラダボウル:
サラダやパスタなどの料理を提供するための容器。外出先での食事用としてテイクアウトによく使われます。 - スープボウル:
スープやシチューを提供するための容器。漏れ防止のためのコーティングが施されています。 - 花器:
フラワーアレンジや生け花・華道に使用できる花器として様々な形状の紙製花器が存在します。
紙製ボックス(箱)
紙製ボックスは、通常、直方体または立方体の形状をしており、食品や小物などを梱包するために使用されます。テイクアウト用の食事やギフト用のパッケージとして広く利用されています。ボックスには蓋がついており、内容物を保護するためにしっかりと閉じる設計がされています。
使用例
- テイクアウトボックス:
中華料理やお弁当などのテイクアウト用に使われる。蓋がしっかり閉じる設計になっているため、内容物を保護します。 - ギフトボックス:
ケーキやお菓子、ギフトアイテムを包装するための箱。デザインやサイズが多様で、見た目の美しさも重視されます。
紙製筒容器
紙製の筒容器(ペーパーチューブ)は、円筒形の容器で、馴染みのあるものとしては卒業証書の丸筒などがあり、他にはポスターやアート作品、スナック菓子などの保護に使用されます。筒容器は、その形状により内容物をしっかりと保護し、衝撃から守る役割を果たします。また、紙製のため軽量で持ち運びが容易です。
使用例
- プリングルズのようなスナック菓子の容器:
チップスやクラッカーなどの乾燥食品を保存するために使用されます。 - ポスター用チューブ:
ポスターやアートプリントなどの長い紙製品を保護するための容器。運搬中に巻いたポスターが傷つかないようにします。
緩衝材用
紙容器は緩衝材目的で使用されることもあります。よく目にするものとして卵の包装に使用する紙製トレイ(たまごパック)や、電化製品の保護に用いられる紙製クッション材などがあります。これらは主に「パルプモウルド(パルプモールド)」という古紙をリサイクルして作る環境に優しい包装資材が用いられます。主な特徴は軽量・クッション性・複雑な立体成形が可能で、高い緩衝性を発揮し組み立て不要なため、包装作業の作業性向上にも役立ちます。
使用例
- たまごパック:
たまごの形状に合わせて成型された紙製トレイ。継ぎ目のない三次元立体成型で卵を保護します。 - 電化製品の保護材:
電化製品の梱包に使用されることがあり、外側を段ボールで覆い内側をパルプモウルドで成形されたクッション材で保護し販売されることがあります。製品の形状に合わせて成形可能なため、オリジナルの梱包材・クッション材として活躍しています。
紙容器の選び方
用途に合わせた選択
紙容器を選ぶ際には、まずその用途を明確にすることが重要です。例えば、食品包装では、衛生面や保温性が重視されますが、工業製品の梱包では耐久性や防水性・クッション性などが求められます。用途に応じて適切な材質やコーティングを選ぶことで、最適な紙容器を提供することができます。「食品包装」用としては耐油性や防湿性のある紙容器が必要となり、「化粧品」や「医療製品」では高いバリア性が求められます。
環境負荷の低減
紙容器の選定では、環境負荷の低減も重要な要素です。「リサイクル可能な包装材」を使用することで、環境への負荷を減らすことができます。また、FSC認証紙(環境破壊や社会問題につながらない適切に管理された森林から伐採された木材から製造された紙)を使用することで、森林保護に寄与することができます。さらに、印刷インクや接着剤にも環境配慮型の製品を選ぶことで、よりエコフレンドリーな製品を提供できます。
コストパフォーマンス
紙容器の選定においては、品質とコストのバランスが重要です。高機能な紙容器はコストがかかることがありますが、その分、製品の保護性能や顧客満足度の向上が期待できます。また、大量生産や一括購入によるコスト削減も可能です。コストを抑えながらも品質を保つためには、信頼できるサプライヤーとの連携が重要です。
紙容器市場のトレンドと今後の展望
技術革新と新素材
紙容器の製造技術は日々進化しており、「バリア性紙容器」などの新技術が次々と登場しています。これにより、従来はプラスチックが主流であった用途でも紙容器が使用できるようになっています。また、「バイオプラスチック」や「植物由来のコーティング材」など、環境に優しい新素材の開発が進んでいます。これらの技術革新により、紙容器の適用範囲が広がり、さらなる市場拡大が期待されています。
サステナビリティの強化
企業や消費者の間で「サステナブルな製品」への関心が高まっており、紙容器業界でもこのトレンドが顕著です。リサイクル可能な素材や環境負荷の低い製造プロセスが求められており、企業はこれに対応するための取り組みを強化しています。例えば、使い捨て製品を削減し、リサイクルやリユースを推進する動きが広がっています。
グローバル市場の動向
グローバル市場では、紙容器の需要が特にアジアやヨーロッパで急速に拡大しています。これは、政府による環境規制の強化や、消費者の環境意識の高まりが影響しています。各国の規制や基準も厳格化されており、国際的な認証を取得した紙容器が求められるようになっています。また、国際物流の発展により、紙容器の輸出入が活発化し、グローバルなサプライチェーンが形成されています。
弊社「機能紙選定ナビ」の特徴
豊富な品揃えと専門知識
「機能紙選定ナビ」は、紙容器に関する多様な製品ラインナップと専門的な知識を持つスタッフが、お客様のニーズに応じた最適な製品をご提案します。私たちは、「食品包装」「飲料パッケージ」「工業製品の梱包」など、あらゆる用途に対応する紙容器を取り揃えており、どんなニーズにも柔軟に対応します。
カスタマイズ対応
「機能紙選定ナビ」では、お客様の特定のニーズに応じたカスタマイズ対応を行っています。特注のサイズや形状、デザインの紙容器を提供し、お客様のブランドイメージを効果的に伝えるお手伝いをします。また、特殊な機能や性能が求められる場合にも、最適なソリューションをご提案いたします。
持続可能な製品ラインナップ
私たちは、環境に配慮した製品の提供に力を入れており、再生可能な素材を使用した製品やリサイクル可能な紙容器をご提案しています。お客様の用途ごとに最適な製品のご提案と共に、持続可能な未来を目指しています。
紙容器の選定にお困りの際は「機能紙選定ナビ」へ
紙容器の選定には多くの要素が関わりますが、「機能紙選定ナビ」では専門知識を持ったスタッフが丁寧に対応し、お客様のビジネスに最適な解決策を提案します。特に、コスト削減や環境負荷低減を実現するためのアドバイスを提供し、お客様の持続可能なビジネス展開をサポートします。
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